越前漆器産地内の生産工程と特長
越前漆器は、生産工程に大きな特徴があります。それは産地全体で分業体制が確立しており、素地づくり、塗り、加飾などさまざまな工程が高度に専門化していることです。これが美しさ、堅牢さなど品質の安定と、高い生産能力につながっています。
また伝統的な木製の漆器だけでなく、合成樹脂素材や化学塗料を使い、より安価で丈夫な商品を消費者に提供することにも取り組んでいます。現在、外食分野で使われる漆器の大半は合成樹脂でできていますが、その8~9割は越前漆器産地で生産されています。
木地製作
手塗り(下地・上塗り)
加飾(蒔絵・沈金)
木地製作
木製品は、椀などの丸物か、箱、盆などの角物(板物)かによっても違ってきます。丸物は、水目桜、トチ、ケヤキなどをろくろで削って形をつくります。角物はカツラ、ホオ、漆器用合板などを裁断し、削り込み、組み立てます。
塗り工程
下塗りと上塗りとに分業化されています。この下塗りは、製品の表面には出ませんが漆器の品質を左右する大切な部分で、塗りと研ぎを何度も繰り返します。上塗りは、均一の厚さに塗る熟練の技と、一定の温度、湿度を保つデリケートな乾燥の技術が勝負です。漆の乾燥には高湿度が必要です。
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加飾工程
蒔絵は、蒔絵筆に漆を含ませて模様を描き、そこに金・銀粉などを蒔きつけ、研ぎ・磨きを繰り返してつくりあげます。沈金は、沈金刀で線彫り、点彫り、片切彫り等の技法を用いて絵柄を刻み込み、その彫り跡に金・銀箔、金・銀粉、顔料等を漆で定着させ、仕上げていきます。
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合成樹脂成型
塗 装
印刷・転写
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合成樹脂成型
合成樹脂の素地工程は成型と呼ばれ、プラスチック粉を機械で熱加工します。これにより製造工程を簡略化しコストダウンを図るとともに、従来にない変化に富んだ形が製作できます。
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塗装
スプレーによる塗りの場合、手動もしくはロボットのスプレーガンで漆や化学塗料を吹き付けます。変わり塗りなど、新しい技法の開発も進んでいます。
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印刷・転写
原画を刷り込むスクリーン印刷や、丸いものに絵を写し込むパット印刷などの転写も、比較的安価に量産できるうえ技術的にも高度になり、さかんに行われるようになっています。